番組審議会報告

ホーム番組審議会報告第578回番組審議会 2023年6月14日

第578回番組審議会 2023年6月14日

第578回番組審議会は、2023年6月14日にテレビ長崎本社で開催され、下記の番組について審議を行った。

審議議題番組  ドキュメント九州
「こざかなクン」
2023年3月15日(水)  15時15分~15時45分放送

出席委員(順不同・敬称略)

菊森 淳文
田崎 智博
近久 宏志
内田 輝美
前田 徹
藤岡 良規
河村 有教
北村 由香
以上 8名

欠席委員(順不同・敬称略)

なし

審議の概要

  • 番組全体が、濃密な親子関係をベースに構成されており、親がどれだけ子どもと向き合えているのか?親の主張など、実は価値観の押し付けなのではないか?など、親であれば誰でも考えたことがあることを改めて思いなおさせてくれるきっかけの番組になっていると感じた。
  • 作り手の苦労と作品の出来栄えというのは、やっぱりちょっと違う印象かなというふうに、個人的には感じている。30分の番組をドキュメンタリーとして視聴して、今回の番組は、番組として何を一番訴えていこうとしているのかというのが、ややわからなかったなというのが正直な印象。個人的には、発達障害を取り上げた番組だろうと思ったので、もう少しその発達障害ということに対する掘り下げというか、そういったところがちょっと足りなかったのではないかなというふうに思っている。
    今回の番組に関しては、映像としての強さというか、良さを余り感じられなかった。撮影が難しかったという事情があったかと思うが、どうしても全体の印象として、魚や、親子がほがらかに釣りをしている場面とか、ほがらかに会話をしている場面がとても多くて、お母様のご苦労とか、波音君の内面の葛藤みたいなところが、映像からは伝わる部分がなかったなというのが、正直な感想。
  • 今、本当に、発達障害と診断される子どもの数は、とても多いと思う。それが個性なのか、発達障害なのかというところの線引きも、非常に難しくなっている世の中だなというふうには思っているし、そういったお母さん方、幼少期よりも、ある程度年齢を重ねた子どもの子育てに悩むお母さんたちって、多分、今、とても多いと思うが、そういったお母さんたちへの応援のような番組だったと思う。発達障害についてももう少し、病名というか、ADHDっておっしゃいましたけど、そこまで出して、発達障害の特性というのも、ある程度世間の方にわかってもらうというのは必要だと思った。
    取材ディレクターの熱量が、伝わってくる番組だと思うし、いかに取材する方との信頼関係をつくっていくかは、非常に大切なことだと思う。
  • 放送法上の「聴覚障がい者に対して説明するための文字を見ることができる限り多く設けるようにしなければならない」という点において、文字が極端に少ないように思った。何を視聴者に訴えかけたいのか、制作者の意図にあわせての字幕を付すことが重要になると思われるが、親子関係のあり様についてこざかなクンとお母さんの言葉をもう少し文字化して付してもよかったのではないかと思う。
  • 起承転結みたいにきれいにまとまっていたので、とてもいい番組だったと思う。全体の流れとしては、とても考えさせるものだった。「こざかなクン」というタイトルでよかったのかどうかは、ちょっと、わからなかった。
  • お母さんの子育てに対する葛藤みたいなことがメーンだったのかな、みたいな話で、何を言いたかったのか、伝えたかったのかというのがちょっとわからなくて、戸惑ったところもあった。タイトルがどうしても引っかかってきて、最初から、見づらいところがあった。
    やはり、全体を見て思ったのが、ちょっときれい過ぎるなと、もっと苦労話があれば、もっと実感がわいて、視聴者の方の心情に訴えることができたのかなと感じた。
  • 長い間取材をしていて、中学校のときの映像があったり、高校生になったりとかいうのが若干長くて、少し気にはなったが、いろいろなことを考えさせられながら視聴した。取材者に対する信頼感が、子どもからも母親からもすごく伝わってきたなと思った。
    明らかに多様性につながる番組なのに、これが多様性よというようなことを全然言わない。あるいは、発達障害のことを何もわかっていなかったでしょう、そう思いませんか、というように、見る人に全然詰め寄ってこない。だけども、見た側が考えさせられる。本当にそれを徹底して言わないし、語らせないし、当事者にも語らせなければ、ナレーションでも言わない、字幕でも書かない、だけど、これだけ伝わるというのは、すごいことだなというふうに、思った。
  • 30分だったらこういう番組だろうけれども、1時間番組にしたときに、人間としてどろどろしたところとか、ものすごい葛藤とか、そういうものをもう少し表現をされてもいいのかなと。その方が、一般の方々にはもっとわかりやすいのかなと。30分で、さらっとした番組になって、わかる人はわかるけれども、わからない人はなかなかわかりにくいということもあるので、ぜひこれをもう少し長い時間を使って、取り上げていただきたいなというのが感想。全体としては、非常によくまとまって、途中から大きな展開があるという意味で、非常にドラマチックなドキュメンタリーだったと思った。
トップへ