番組審議会報告

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第579回番組審議会 2023年7月12日

第579回番組審議会は、2023年7月12日にテレビ長崎本社で開催され、下記の番組について審議を行った。

審議議題番組  FNSドキュメンタリー大賞出品作品
「岩永さんと濵田さん ―置き去りの5678人―」
2023年5月30日(火)  19時00分~19時54分放送

出席委員(順不同・敬称略)

菊森 淳文
田崎 智博
近久 宏志
内田 輝美
前田 徹
藤岡 良規
河村 有教
北村 由香
以上 8名

欠席委員(順不同・敬称略)

なし

審議の概要

  • 長崎と広島の判例などを比較して、勝訴理由、敗訴理由を図で示して、非常にわかりやすかった。番組、特に前段部分は、岩永さん、濵田さんという二人の登場人物をそれぞれクローズアップして、心情を整理したのも非常によかったと思う。大変見やすかった。取材者が取材を続けていくうちに、対象者、つまり岩永さんと濵田さんに共感して、取材者及び制作者の思いを乗せて放映していく、これは、発信側にしかできない醍醐味なんだろうなと、今回改めて感じながら視聴した。
  • 被爆者と被爆体験者の違いや広島と長崎の被爆者認定を求める集団訴訟のことなど、とても丁寧に取材をされ、この問題についての知識が無い視聴者にも分かりやすく制作された番組だと感じた。
  • タイトルの中にもある、「-置き去りの5678人-」、この「5678人」とタイトルにつけるにあたって、この数字がもうちょっと強く出てもよかったのかなと思う。あまりにも岩永さんと濵田さんに焦点が当たり過ぎて、この数字が、何だったんだろうと疑問に思った。
    福島の原発の部分で、放射線量の地図とかいうのがあったと思うが、非常に、長崎と、最近起こった福島の出来事をリンクさせるいい資料だったと思う。ああいう切り口から、福島、それから長崎を比較したというのは、余りないような気がするので、あの資料は、長崎県民としてもはっとさせられることがあった。
  • 岩永さん、濵田さんの15年間の時間の経過というのが、二人の老いの様子とか、動き方、歩き方で、何も言わずに伝わってくるのは、これまでの取材の蓄積とか、それをまとめる力かなと思った。
    誰がどうしたら救われるのかということが、なかなか答えが見えてこない、そこに、岩永さんたちが苦しんでいる姿がずっと繰り返されて、結局解決されないまま終わってしまうというのは、まさにその問題がそうだから、そのとおりで仕方がないが、それを視聴者も見て、岩永さんたちのつらさとか心情を追体験するような感じの効果はあったと思うが、番組終わりとして、どうすればいいのというところが、何かちょっと示されてほしいなというところがあった。
  • ちょっと引いた視点というか、法律的な見方とか、心情とは別に法律ではこうだから難しいとか、そういうような、岩永さん、濵田さん、お二人から引いて、長崎からも引いて、法律の世界の考えとか、そういうところの解説だとかを誰かに言ってもらう部分があるとよかったのかなと思う。それと、やはりこの問題は、政治がやはり大きなかぎを握っている話だから、長崎の二人だけをずっと見続けても見えないところもあると思う。
  • 事案の内容がパラレルではありませんので、単純に分けて、「長崎は...」、「広島は...」とするのは、乱暴のように思った。
  • この問題がきちんと、被爆体験者側の主張に沿う形で解決をされないと、それが核の被害であるとか、原子爆弾の被害を、きちんとこの国が理解をして、受けとめたことにならないんだという主張によるものという、そこはしっかりとよく伝わってきたと思った。本当に丁寧に取材を積み重ねて、取材対象者の信頼を獲得されているということもよく伺えた。
  • 番組をつくるときに一瞬引くような観点も少し残しておかないと、報道として入れ込み過ぎてもいけないし、そこのバランスというのは必要かなということは改めて感じた。
  • 地域を挙げてこの問題を正しく理解して、今後の方向性を、住民も一緒に考えていってもらいたいという意味での番組の立ち位置と意義というのは、非常にあると思う。
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