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2022年08月16日

精霊流しと私

吉井です。今年も長崎のお盆の伝統行事「精霊流し」が幕を降ろしました。今年はこの町の取材をさせてもらました。

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長崎市の伊良林一丁目です。実は伊良林一丁目は去年9月に99歳で亡くなった歴史研究家の越中 哲也さんの地元で、越中さんも長年にわたって町の活動に関わってきました。町の人がおっしゃるには、画面左下の眼鏡の男性が、若かりし頃の越中先生なんだそうです。レア画像ですよね。

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伊良林一丁目は伝統的に、町の共同の船「もやい船」を作っています。去年は新型コロナの影響でトラックに菰を積んで流す...という簡易的な方法をとりましたが、今年は越中さんを含む、町内で5人の御霊を乗せるということで船作りを再開。しかも町の長老だった越中さんを乗せることもあり、ワラを使った昔ながらの2連の船を復活させることにしました。一言で「ワラ」といっても、手に入るのは稲の収穫後の秋だけ。伊良林一丁目は先生のために去年から奔走して、軽トラック1杯分のワラを集めた...というのですから、力の入れようがよく分かります。

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材料の手配から、切り出し、組み立てなど...7月初旬に準備を始めて、約2ヵ月かけて町のみなさんは精霊船を完成させました。板の状態の時から見せてもらっていたので、組みあがった時は私も感動しました。近づくとワラや、みよしに飾ったヒノキの香りが漂ってきました。

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越中さんは生前から「船に乗るなら伊良林のもやい船がいい」とおっしゃっていたそうです。きのうは雨が強く降ったり止んだりの天気でしたが、越中先生の家族のお1人に話を聞いたら「父は雨男だったので今帰ってきているというのを実感した」と答えてくださったのが印象的でした。故人のために何ができるかを考え、みんなで準備して、みんなで流す。亡くなった大切な人を思い出して語り合うのが長崎流の弔いなのだと改めて感じました。

それではまた

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