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長崎の海洋ごみ調査2025
はじめに
~CFBが目指すこと~

日本財団が推進する「海と日本プロジェクト」CHANGE FOR THE BLUE(CFB)は豊かな海を次世代へ継承するため、海洋ごみに関する課題に取り組んでいます。海のごみの8割が陸上由来のごみである研究データなどから、海岸だけでなく、まちなかの清掃美化、環境学習イベントを開催しています。
海洋ごみの現状を正しく知るために、2023年度から長崎大学水産学部にご協力いただき、海洋ごみに関する調査を行っています。少しでも多くの人に「海洋ごみ」問題を知ってもらい、「海ごみを減らす」行動につなげていただきたいと考えています。

プログラムについて

調査の様子

2023年度の大村湾内の漂流ごみ目視調査、2024年度の河川からの流入ごみの調査を受けて、2025年度は大村湾でマイクロプラスチックの観測と、長崎周辺海域の外洋域で対馬における海岸漂着ごみの調査を実施しました。

7月7日・8日
マイクロプラスチック採集
8月27日~29日
長崎周辺海域 外洋域での海洋ごみ調査〈対馬の海岸〉
  • 航路で目視による漂流ごみ調査
  • 対馬の海岸で漂着ごみの観察・採集
  • 一社)対馬CAPPA 末永理事 講話
12月
調査の様子を番組として、2025年12月31日にKTNテレビ長崎で放送(その後配信)

マイクロプラスチック調査

マイクロプラスチックについて

マイクロプラスチックとは・・・5ミリ未満の小さなプラスチック片のこと
海洋環境の深刻な問題になっています。
魚や貝、プランクトンなどに取り込まれており、分解されずに長く残るため、生態系や人への影響が懸念されています。

調査概要

日程
2025年7月7日
場所
五島灘(外洋域)および大村湾(内湾域)
方法
  • 海表面を曳くことができるニューストンネットを用い、曳網速度2ノット、曳網時間は20分としました。
  • 採集したサンプル(外洋および・内湾)は、長崎大学水産学部の研究室に持ち帰り、プラスチックをソーティングし、サイズと色、形状を記録し、赤外線で素材を判定しました。

調査結果

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採集場所 合計 形状
繊維 破片 フィルム 発泡
外洋 292 41 150 53 48
大村湾 15 9 3 0 3
調査結果 外洋
調査結果 大村湾
分析を担当した長崎大学 大学院・総合生産科学研究科
シティ シャズワニ ビンティ アズミ さんから

繊維状のものの多くは、色や材質から漁網ではないかと思います。
大村湾では、人間の日常生活に密接に関係のある生活ごみの影響が大きく、
外洋では漁業などの産業で使用された道具や漁具などの産業ごみの影響が大きいかもしれない。
マイクロプラスチックは微生物にも取り込まれているので、
どのような影響があるのかはずっと調べていかなければならないと思います。

ワニさんの写真

本研究が示す意義と展望

マイクロプラスチックが生態に及ぼす影響に詳しい
長崎大学水産学部 八木光晴 准教授から

今回の結果では、外洋域のマイクロプラスチックの密度が圧倒的に多かったです。長崎県の面する外洋は、アジア地域との接続水域ですので、マイクロプラスチックの密度が高かったのでしょう。マイクロプラスチックの殆どは、ポリ袋や発泡容器など元は大きなサイズのプラスチック製品です。これらが、海に流出して海洋ごみとなり、マイクロプラスチックになります。日本だけではなく、アジア諸外国とも協力して海ゴミ対策をしていくことが今後重要であると思われます。

八木光晴 准教授の写真

対馬海岸調査航海 (漂流ごみ、漂着ごみ)

調査航海について

長崎大学水産学部練習船「鶴洋丸」に乗船、対馬の海岸を舞台に、体験と探求の調査航海です。
対馬厳原港までの航路では「漂流ごみの目視調査」、対馬の海岸では「漂着ごみの回収調査」の手法を学び、「海洋ごみ問題」について長年取り組んでいる「対馬CAPA」のみなさんのガイドで現地調査を行う2泊3日の調査航海に今回、海の環境保全に関心のある長崎県内の高校生7名が参加しました。

スケジュール

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日時 内容
2025年
8月27日(水)
9:00 三重式見港出港 長崎大学水産学部練習船 鶴洋丸に乗船!
・航海計器や 観測機器の説明
・漂流ごみの目視調査
19:00 錨泊(対馬・厳原港付近)
2025年
8月28日(木)
8:30 厳原港 着岸・下船
9:30 椎根海岸で漂着ごみ調査と採集
13:30 対馬CAPPA 講話 対馬海岸の漂着ごみの現状について
16:00 出港
19:00 錨泊(壱岐周辺)
2025年
8月29日(金)
レポートのまとめ・質疑応答
13:30 下船・解散

調査概要

①漂流ごみ 目視調査

日程
2025年8月27日(水)
場所
長崎~~対馬間の海上
方法
  • 船橋内(デッキ)から肉眼で浮遊物体を観察した。
    双眼鏡は物体の識別のみに使用した。
  • 船の速度は11ノット(時速約20km)で30分×4回実施
  • タブレットに分類して入力。(アプリ提供:東京海洋大学)

観察した浮遊物体を分類して入力したタブレット

▲観察した浮遊物体を分類して入力したタブレット(アプリ提供:東京海洋大学)

②漂着ごみ 調査

日程
2025年8月28(木)9:40~10:50
場所
対馬市 椎根海岸
(厳原港から見て対馬をはさんだ反対側の西側に面した海岸)
方法
  • 陸側、海側、その中間、の3つの区画に分けて、区画内のすべてのごみを回収した。
  • 各区画の面積は縦2m×横3m(6㎡)

対馬市 椎根海岸の地図

▲対馬市 椎根海岸の地図

調査区画の分け方

▲調査区画の分け方

結果

①漂流ごみの目視調査結果

漂流ごみの目視観測調査は往路の長崎から対馬に向かう間に2班に分けて30分2回ずつ、合計4回実施しました。(合計120分)
合計航走距離:21.85マイル(約40km) この間に人工物は約100個が確認できました。発見個数について、それなりに数はありましたが他の海域では30分の観測で40個程度がみられる場合もあり、今回の結果が他の海域と比較して著しく多い、とまでは言えませんでした。

②漂着ごみ 回収調査結果

対馬という地理的な状況から過去の調査でも韓国産のごみが多数漂着していることが報告されていますが原産国に関して、今回の結果では中国産と日本産がほぼ同数でした。区画内で採取されたごみの個数に関しても同じ長崎県内の離島である男女群島の女島と比較して、今回では単位面積当たりの個数は少ない結果となりました。ただ、これはあくまで今回1回分の調査結果でしかありませんので、今後も継続して調査を行っていく必要があります。

まとめ

区画別個数
区画A 9個
区画B 12個
区画C 39個
種類別個数(全区画合計)
ペットボトル 27個
漁具 12個
スチール缶 3個
発泡スチロール 1個
原産国別個数(全区画合計)
不明 51個
中国 5個
日本 4個
韓国 0個

対馬海岸調査(漂流ごみ・漂着ごみ)について

総合監修いただいた、漂流・漂着ごみの実態調査に詳しい
長崎大学水産学部 清水健一 教授から

まず今回の調査に当たり、ご協力いただきました鶴洋丸の青島船長始め、鶴洋丸乗組員の皆さま、KTNテレビ長崎のスタッフをはじめとする関係の皆さまに対し、無事に調査を終えることが出来ましたことを改めてお礼申し上げます。

今回の調査では初めて対馬の漂着ごみ調査に同行させて頂きましたが、漂着ごみに関しては地理的に韓国産が多いかと想定していましたが、実際に回収されたものはむしろ中国産や日本産が多く、男女群島の女島に漂着するごみと似たような組成となっていたのは意外でした。
今回の結果がたまたまそうであったのか、もう少し長い時間スケールで継続的に調査を行っていく必要があると感じました。

一方で、高校生の皆さまには炎天下での調査となり、大変お疲れ様でした。「百聞は一見に如かず」との言葉通り、皆さまには今回、船上での漂流ごみの目視調査や海岸での漂着ごみの回収、さらには現地での対馬CAPPA様の講話を通じて現場の様子を体験出来たことは何よりでした。今回は残念ながら乗船人数の関係で参加者の数を制限させて頂きましたが今回の活動をぜひ多くの方に伝えて頂き、海洋ごみ問題に関心を持っていただける方を増やして頂ければと思います。

今回の活動にご参加頂いた高校生の皆さまの今後のご活躍を祈念しております。

清水健一 教授の写真

対馬海岸調査航海 参加者レポート

メディア・番組情報

2025年度

番組タイトル

海ごみなぜ 2 ~長崎で探求する若者たち~

放送日時

2025年12月31日(水)14:20~14:45

番組紹介文

私たちの海に、いま何が起きているのか。
長崎を舞台に、大学生や高校生など若者たちが海洋ごみの実態に向き合います。
マイクロプラスチックの研究に挑む大学生、対馬へ向かい漂流・漂着ごみを調査する高校生たち。
自ら見て、学び、考える姿から、海の未来と私たちにできることを問いかけます。

配信URL

2024年度放送

特別番組「海ごみなぜ~卒論で問う大学生」

海が好きで長崎大学水産学部に入学した関さんが卒業論文でテーマにしたのは、「川のごみ」でした。8割が陸由来といわれる海洋ごみ。海に流れ出る前の水際で食い止められたら・・ 先生や研究室の仲間の助けを借りて、5か月にわたって川のごみを回収し分析を行いました。海の環境に関心を持つ高校生も調査に参加しました。川のごみを調べる研究を通してわかったこと、考えたこととは。

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