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2021年08月15日

伝えたいナガサキ~被爆76年 被爆者とともに~被爆者の「生きた証」を次の世代へ...デジタル・オンラインを駆使した被爆体験の継承

長崎に原爆が投下されてから76年。新型コロナの感染拡大は、被爆者から直接、体験を聞く機会を奪っています。その一方で、自宅で過ごす時間が増えた今こそ、眠っている貴重な資料の掘り起こしができるのではないかという期待もあります。

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国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館 岩永 浩 副館長「コロナ禍で(写真の)整理をしている可能性がある」

長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA) 林田 光弘 特任研究員「コロナ禍で、資料が今だから見つかったというケースは長崎だけに限らず全国的によく聞くので、このタイミングを狙いたい」

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長崎市の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館が長崎大学とタッグを組んで始めたのは、被爆前の長崎を写した写真の収集です。被爆前の景色に加え、人々の表情、生活の様子などが分かる写真。平和祈念館が持つ被爆者の証言と組み合わせ、若い世代に向けた新しい平和教材を開発。デジタル化し、オンラインで国の内外に提供したいと考えています。

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長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA) 林田 光弘 特任研究員「(若い世代が)みんな言うのは、戦争という状態そのものが全く想像できない非日常なもの。長崎の平和な街で実際にあったということが想像できないという感想」「私たちにとって非日常な被爆ということが、被爆者にとっては日常の延長上にそれがあったんだと伝えられるかどうかが、すごく大事」

プロジェクトの中核を担うのは、長崎大学の核兵器廃絶研究センター=RECNAの特任研究員、林田 光弘さん、29歳です。

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林田 光弘さん(2009年当時)「僕は被爆3世でもあるし、長崎で生まれ育った高校生として、僕にしかできない、伝えられないことがたくさんあると思う」

林田さんは祖父が被爆者の、被爆3世です。核兵器廃絶を求める署名を国連に届ける活動などを行っている高校生平和大使を務めたほか、2010年にはNPT再検討会議に合わせてアメリカに渡り、現地で被爆者の体験を基にした紙芝居をしました。

東京の大学に進学後も「ヒバクシャ国際署名」のキャンペーンリーダーを務めるなど、平和活動や被爆者との交流を続けてきました。

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林田 光弘さん「被爆者や、核兵器廃絶のために自らを削って活動している人にたくさん出会ってきて、この人たちの声が後世でどこかの図書館で埃を被るようなことがあってはいけないと思ったし、これから生まれてくる世代の人たちにちゃんと伝えたいと心から思っている」

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1発の爆弾があの日、日常から何を奪ったのか。被爆者の人生全体を知り、若い世代が「感情移入」できる教材を作るつもりです。

林田 光弘さん「今は直接、被爆者と会って人と人とのつながりを作ることが出来るけれども、15年、20年経ったときに被爆者のいない時代が近付いてくる。そうなったときに、被爆者が確かに「生きた」人たちであって、どんな人生を歩んだのか。ひとりひとりの「人間」としてきちんと後世の人に向き合ってもらえるかというのが、私たちに課せられた課題」

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