ホーム8gram ピックアップ 戦地からの手紙~諫早出身の軍医がつづった家族への愛と故郷への思い
トレンドワード
ピックアップ
ピックアップ
2021年08月15日

戦地からの手紙~諫早出身の軍医がつづった家族への愛と故郷への思い

太平洋戦争中に戦地へ赴いたある日本人軍医が家族に宛てた手紙が見つかり、諫早市に寄贈されました。いま、その一部が公開されています。

十月八日と云へばもうそちらは秋が訪れて居りますね。(中略)こちらは又雨が多くなつて毎日の様に降ります。降つては照り照つては降る 内地の梅雨期そつくりです。爆撃も慣れて参りました。超低空奇襲でジャングルの梢をゆさぶつて轟いて来る様は一寸乙です。

s-Still0811_00009.jpg

諫早市に手紙を寄贈した大塚 梓(あずさ)さん(84)です。手紙とはがきは、合わせて300通以上。軍医だった梓さんの父、格(いたる)さんが 家族に送った手紙です。去年、亡き母・綾子さんの遺品を整理していた際に、父が戦地から家族に送った手紙が保管されているのを見つけました。

手紙を寄贈した大塚 梓さん 「どのくらいあるかはわからなかったのですが、小さい頃から絵はがきを見せられていた。こんなに綿密に書いたものがたくさんまとまってあるとは知りませんでしたね」

s-Still0811_00000.jpg

格さんは諫早市出身の軍医で、1939年から5年間、中国とニューギニアで従軍、44年に戦死しました。元々、医学の勉強のために臓器のスケッチなどをしていたため、絵がうまかったといいます。手紙にも、精密かつ立体的な描写が添えられています。

諫早市美術・歴史館 大島大輔さん「一級の戦時資料になるのかなと思う。年代的にも、昭和14年の出征から戦死される19年まで300通以上ですから、ものすごく資料的価値があるのかなと」

s-Still0811_00005.jpg

中国からニューギニアに移った格(いたる)さんが子供たちに宛てた手紙。読みやすいようカタカナで書かれています。

ナンカイセンセンノオイシイクダモノヲ ミンコチャンニオクリマス

コレハミンコチャンガイツモカアチヤンノイフコトヲヨクキイテ

オリコウサンダカラソノゴホウビナノデス

タロウチヤンアツチヤンカアチヤンモホシガツテオリマスカラ

ワケテタベサシテアゲナサイ

s-Still0811_00002.jpg

大塚 梓さん「家族をほんとに想った中身がいっぱい書いてある。戦争に行って、自分の命を(危険に)さらしているはずなのに、戦地の生活を家庭に伝えよう、安らぎがあることを伝えようという風な、そういう努力をしているような気がしますね。しかし検閲があったはずですから、それに触れない程度に上手に書いたのかなと思いますね」

大島 大輔さん「手紙の中には 格さんと奥様の綾子さんしかわからないような暗号を使って、いまどこにいる、ということを伝えたりとかですね。あいうえお、五十音、12345,とか。簡単に言うとポケベルみたいな感じで」

約1ヶ月後に場所を変わるかもしれない

s-暗号解読.jpg

大島 大輔さん「二人だけの秘密というか。それが漏れてしまうと多分、つかまると思いますので。そういう手紙を通して、二人だけの秘密を共有できたのかなということがわかる」

今度も亦皆無事だつた。代用客車の鉄板に寄りかかつて落附いたかと思ふと兵隊さんは皆睡つて了つた。ひどく疲れているのだ。真に迫った悲壮な姿!これは敗北の凱旋ではなく実に栄えある勝利の凱旋です。勝つ為には又生きるために如何に真剣なる努力が要ることか!

s-Still0811_00004.jpg

大島 大輔さん「お医者さんとして行っている人(格さん)と、第一線で戦う人との視点の違いがあるのかなと」

大塚 梓さん「それはあるでしょうね。軍隊の行動というのが、いわゆるその土地に上陸してそこを占拠していくわけでしょ。それがあたりまえだ、ということで行動しているわけでしょ。まったく考え方が違うんだなと。軍のおそろしさですね、そういうのを感じますね」

雨上がりの陽光は燦々と大海原に溢れ 海底に投射し風穏やかに地平の彼方には悠然と雲湧き上る。此の平和な海原に空襲爆撃などあらうとは思へない程である。

今しも多忙な荷揚げを終つて再び数千里の波濤を乗り越えて我等の故郷の方向へ帰航の途に就かうとして居る一隻の船がある。心から航海の安全を祈る。

s-Still0811_00007.jpg

大塚 梓さん「こういうのを読むと、親父を近くに感じますね。(手紙が)家にある間は親父の愛情のこもった伝達道具でしかない。ここに、公に収めた瞬間から戦争の歴史的資料になるんじゃないかな」

37歳でこの世を去った父・格さん。戦地から家族へ宛てた300通以上の手紙から様々なことを感じて欲しいと、梓さんは訴えます。

s-Still0811_00006.jpg

太郎ちやん お母さんやおばあちやんやねーちやんの云ふことをよく聞いて 学校からは早く帰りなさい。

梓ちゃん あまり泣かないでください。笑つてばかり居なさい。

s-Still0811_00011.jpg

梓さんは、絵を見て、当時の戦争の状況を感じて欲しい。多くの人の目に触れて、後世の平和のために役立てて欲しいと話しています。

手紙の一部は、諫早市のHPで読むことができるほか、8月22日までは諫早市美術・歴史館で展示されています。

戦地から家族への手紙 | 諫早市公式ホームページ (city.isahaya.nagasaki.jp)

追憶 ー戦地からの手紙ー | 諫早市公式ホームページ (city.isahaya.nagasaki.jp)

この記事をシェアする
トップへ