番組審議会報告

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第555回番組審議会 2021年3月10日

555回番組審議会は、2021310日、テレビ長崎で開催され、下記番組について審議した。

『75年目の悲願~奇跡の再会と核兵器禁止条約~』
(テレビ長崎制作)
放送時間 2021年1月24日(日)14時00分~14時55分

出席委員(順不同・敬称略)

菊森 淳文
田崎 智博
柴田 守
石川 由香里
近久 宏志
大川 綾
内田 輝美
相本 倫子

以上 8

欠席委員(順不同・敬称略)

なし

審議番組は2021122日に核兵器禁止条約が発効したのにあわせ、広島で一緒に被爆した幼なじみ2人が、被爆から75年を経て奇跡的に再会した物語と、条約の批准・発効をめぐる被爆地の動きをまとめた。物語部分を担当したディレクターの大浦勝は「コロナで取材が非常に制約されたが、同じ被爆地ながら広島のことはまだまだ知らないことがあると感じた。被爆後、色々な人生を過ごしてきたその思いを描きたかった」と制作意図を説明。条約関連の部分を担当したディレクターの本田舞は「発効当日の被爆者の希望に満ちた表情からこの条約がどれほど重要なのかを伝えられたのではないか。ナレーションの言い回しや構成など、物語部分と条約の解説のような部分をうまくミックスできたか、など課題も残った」と振り返った。

審議の概要(委員からの主な意見)

・広島で被爆した2人が長崎で75年ぶりに再会。言葉にするとたった20文字足らずの出来事だが、「こんなことがあるんだ」と驚く、まさに奇跡で、感動的だった。

・はーちゃん(正木晴彦さん)と和美ちゃん(土田和美さん)の再会はドラマチックで、そのままドラマ化、映画化ができそうなストーリーだと思った。

・見ながら泣いてしまうことはないのだが、エンドのクレジットを見ながらじんわり涙するような番組だった。

・なぜ、奇跡の再会と核兵器禁止条約という2つの事柄を一緒に番組に制作したのかな、と疑問に思った。それぞれがしっくりかみ合わなかったという印象で、番組を分けた方がメッセージ性が高まったと思う。

・再会の物語は「民衆が被爆で経験してきたこと」をベースにしていて、核兵器禁止条約に関しては「一つのムーブメント、社会運動」。2つはまったく次元の違うものであるので、これを番組で合わせて矛盾なく、違和感なく扱うのは本来は難しいと思う。

・和美さんの手紙は、とても伝わってくるものがあり感動した。被爆地ではない場所に住む被爆者が、何を思って、何を語って、何を語らずにいるかを知ることができて良かった。

・正木さんのインタビューの言葉選びとか、表現がすごく独特で、味わい深かった。特に、番組最後に「宗教が違っても、共通点を見つけて平和に向かうことが本当に大切だ」と話されたのが良かった。あの言葉で、最後に番組がすごく締まった。

・和美さんの明るさと、はーちゃんが淡々と原爆のことを振り返るのが非常に良く、このコロナ禍に生きる私たちにもいろんなことを考えさせてくれるきっかけになった

・被爆者の高齢化の現実、(条約が発効し)今からが本当のスタートで、いかに後世に受け継いでいくかを考えるきっかけになった。

・核兵器禁止条約をはじめ原爆・核については非常に温度差がある。新型コロナは身近だと感じて能動的に行動しているのに対して、核兵器はどこか他人事。被爆地だけが盛り上がるのではなくて、被爆国としてどうして積極的になれないのか、改めて考えさせられた。

75年前の原爆投下のエピソードは紙芝居仕立てで効果的であった。また、紙芝居はナレーションとは別の声による朗読で、柔らかな印象を受けた。

・平和活動が被爆者から高校生たちに引き継がれていること、高校生たちがSNSのような新しいツールで情報発信をしているのが非常に良かった。

・核兵器禁止条約に関して、被爆地の長崎市長が条約への参加を呼び掛けるのに対して、佐世保市長は「理想だけでは」と答えている。被爆県でもこのように立場が分かれるのはなぜか、もう少し突っ込むとよかったと思う。

・インタビューの字幕が、実際の発言よりもコンパクトにまとまっているところがあり、違和感があった。

・平和活動に関する言葉遣い、例えば「恒例の9の日の座り込み」というが、なぜ、「恒例」なのか。原爆の日のことを「あの日」と書くが、それだけで原爆投下や原爆資料館の展示を思い浮かべてもらおうとするのは、メディア側の「甘え」ではないか。知らない人たち、若い世代にもわかってもらえるように丁寧に説明することや考えることも必要だ。

・原爆について、(被爆地のメディアとして)報道しないといけないし、(「またか」と思われるかもと)繰り返しを恐れてはいけないと感じた。

・このような「いい番組」をどうにかして残していってほしい。また、テレビでしか見ることができないのではなく、様々な媒体で見られるようにすれば次の世代にもつながるのではないか。

・夏だけでなく、冬に原爆の話を聞けたということは、大きかった。

また、放送局側から、2020年度上期(4月~9月)の「番組種別」について説明があった。

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