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第591回番組審議会 2024年10月16日

第591回番組審議会は、2024年10月16日にテレビ長崎本社で開催され、下記の番組について審議を行った。

審議議題番組 ドキュメント九州「つたえる~福島に寄り添う長崎の医師~」
2024年10月5日(土) 26時20分~26時50分放送

出席委員(順不同・敬称略)

田崎 智博
内田 輝美
近久 宏志
吉井 剛
藤岡 良規
河村 有教
北村 由香
樋口 聡子
以上 8名

欠席委員(順不同・敬称略)

なし

審議の概要

  • 『つたえる~福島に寄り添う長崎の医師~』というタイトルだったので、長崎の医師が福島に通いながら見てきた福島の現状を長崎の視聴者に伝えていく、そういう活動をしている方の話なのかと思いながら見始めたが、途中から、長崎の放射線研究のプロが、福島の住民の不安を払拭するために知見を伝えていく立場かと考えを改めた。後半は、住民の放射線に関する相談に乗ること、定期的な健康講話、中心にいるのは高村さんというシーンもあったりして、どっちだろうと思いながら見た。最後に、長崎も何もないところから復興した、「同じ放射線災害を経験した長崎ができることもあると思う」という高村医師の一言があり、若い世代に伝えることが非常に大事であるというメッセージで、そういう話だったのかということを強く感じ、ストンと落ちた感じがした。
  • 高村医師が最後に「こういう災害も次の世代に伝えていかなくてはいけない」と言うところできれいにまとまるので、タイトルとまとめ方が一貫していたとは思ったが、全体としてはもう少し、現状の福島のことが言いたかったか、ドクターが頑張っているところのみを取りあげるのか、線量の説明も、先生が話しているところを拾い上げて、見ている側に分かるようにしてほしかった。もうちょっとまとめられなかったか。
  • 『~福島に寄り添う長崎の医師~』という副題だったので、高村医師が伝えたいことを紹介するのか、それとも、ディレクターが伝えたいことを紹介するのか、いろいろな意味で何を伝えたいかが難しいところではあったと思うが、少しぼんやりしていて、視聴者の解釈に委ねさせるようなところがあった。高村先生は何を伝えたいのかに焦点を当てられたらいいのかなと思った。
  • 最後に放射線災害の現状、何があったのか、その経験を次の世代に伝えたいというのが高村医師の本音だったのかなと思いながら、見終わった。背景には、災害リスクの軽減のためという目的があり、医師として、今後、生じ得る災害リスクの軽減のために、何があったのかを次世代に伝えていくということなのかなと思ったが、途中で、住民の懸念を放射線医師が払しょくする、安全ですと言っているようにも感じられて、そういう見方をすると、結局、国寄りの先生が国寄りのことを言っているみたいに、視聴者は変に見てしまうこともあると思うので、誤解がないように、どうしてこの高村先生が福島に寄り添ってきたのか、何を伝えたいのか、副題にある『長崎の医師』というテーマからするならば、高村先生が伝えたいことをもう少し抽出して、それを表に、視聴者に理解していただくという番組構成がよかったのではないか。
  • 放射線災害として何があったのか、番組を見てもよく分からなかった。放射線の現状や移り変わり、年度ごとにこんなふうに変わってきているというのが出れば、当初はこんなにひどかったのかとか、今はこんなに改善したのかというのが分かるが、その放射線災害の過去から現在に至る過程が見えてこなかった。なので、最後に「放射線災害、何があったのか、経験を次の世代に伝える」という高村先生の言葉があまりしっくりこなかった。
  • 先生がなぜ福島に寄り添って、何を伝えたいのか、最後のシーンで、放射線災害の経験を次世代に伝えたいと言うのであれば、やはりその点をもう少し絞って取材されて、視聴者に伝えるのが望ましいと思った。
  • 他県の放送局ではなかなか取り上げられなくなった福島を、高村先生を通して、原爆の被災地である長崎の放送局ならではの番組だったと思う。ほかの委員も言っているが、30分という短かさの中で、情報が多く、あちこちに飛んでいるように感じた。
  • 本当は重たい内容で、重くしようと思えば重くできるはずだが、明るく見られた。見やすかったと感じたが、これは、高村先生の人柄というか、被災者への説明会でも、楽天的に明るく話すという人柄、キャラクターみたいなものもあって、それが番組に反映されていて、明るく見えたところがあった。番組的には、高村先生の人柄に救われた部分もあるのでは。
  • 高村先生が13年間、福島に関わってきて、「思い」が多分あったと思うが、あまり表に出さない方なのが分かった。ただ、そこはやはり番組として深く掘り下げて、一言でもいいので、高村先生の今までの思いを引き出してほしかった。それを最後に入れて、番組を締めくくってほしかった。
  • 原爆を経験した長崎を代表する長崎大学の医師が、福島でこうした活動をされていることを番組で知って、とても誇らしい気持ちになった。終始、高村医師の活動に焦点を当てた構成で、すっきりまとまっていたと思う。『つたえる』というタイトルも、長崎大学の学生たち、福島で被災された方々、次世代の若者、海外の方へと、放射線災害を研究してきた長崎の研究者として、福島に寄り添った高村医師の活動を一言で表しているのかなと思った。
  • 『つたえる』という番組のタイトルが、高村医師の活動を視聴者に伝えたかったのか、高村先生が何を伝えたかったのか、その「つたえる」という焦点がどこに当てられたかと思うと、そこは少しぼやけた感じがしている。
  • 高村医師が原爆資料館で健康講話をしているシーンの「トリチウムが入っている水を飲み続けると、、、」という話で「がんになるまで飲み続けるのは1,000年かかる」と話していた。医学的な知識を持たない私が、そこだけ聞くと、影響がないと聞き取れ、それでいいのかと思った。視聴者の誤解を招くのではないか。
  • 高村医師が、本当に魅力的で、番組を通して、先生の温かさや明るさは伝わってきた。人物的に非常に魅力的な方だとは思ったが、タイトルの『つたえる』というところが、担当ディレクターが何を伝えたかったのか、高村先生が何を伝えたいのか、今、何が問題で、何に対して寄り添っているのかというのが、少し見えてこなかったのかなと思う。
  • 長崎県民として、被爆県の医師が、それも長崎大学で研究をしている方が、今も福島に寄り添われているというのは、本当にとても誇らしいことで、多くの方に知っていただきたい題材だと思うが、もう少し30分の中で何を伝えていくのか、何をどこに絞っていくのか、工夫できた部分があると思う。
  • 高村医師が、誇らしい、とても魅力的な人で、医師が世の中にいろいろな形で貢献ができる職業だということ、改めて感じた。福島の自然豊かで、きれいな風景が撮れていた。13年間寄り添ってきたということで、継続って力だなと思わせられるところがある。
  • 『つたえる』というタイトルについて、福島で今、「何が起きているのか」「何が起きていないのか」ということが描けていたのか、伝わる中身になっていたか。高村医師を中心に描くときに、高村医師の日常、長崎の高村さんも描かなくてはならないという制約もあり、そこは足りていなかったというか、そこまでは届いていなかったのは少し残念だった。
  • 最後のコメントは、本当に、福島と長崎をうまくブリッジしたコメントだった。何もないところから復興した、その経験を持っている長崎だからできることがあって、自分事として体験を伝えていく、それはよく考えたら、長崎がずっとやってきたことだと。 長崎の放送局がつくった意味もよく表している言葉だった。
  • 最後、非常に駆け足で福島の今を伝えている箇所があって「笑顔が戻りました」「祭りが再開されて人が集まるようになりました」「移住してくる人もいます」これがまさに福島の今で、もう少し丁寧に紹介してもらえると、また違う印象もあったと思う。
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