第597回番組審議会 2025年5月14日
第597回番組審議会は、2025年5月14日にテレビ長崎本社で開催され、下記の番組について審議を行った。
審議議題番組 『ドキュメント九州 シンチャオ!~ベトナム・五島交流記~』
出席委員(順不同・敬称略)
田崎 智博
内田 輝美
近久 宏志
吉井 剛
藤岡良規
河村 有教
北村 由香
樋口 聡子
以上 8名
欠席委員(順不同・敬称略)
なし
審議の概要
- 地域課題に向き合う知恵を示すという点で、非常に子細に富んだいい番組だった。30分という短い番組の中に過疎や労働力不足という離島が抱える問題から、いま国際的に言われてる移民の問題、国際間の格差といった大きな問題まで詰め込まれていて、それらを身近に考えるためのいい問題提起になっていた。
- ベトナムと五島のつながりを疑問に思う視聴者が多いのではないか。開校に至った経緯、どのような経緯で五島とベトナムとの交流が日本語学校の開校という形で生まれたのかの説明があった方がよかった。
- ベトナム人学生たちの表情や、島での生活を楽しむ姿が生き生きと映像から伝わって本当によかった。活字メディアは、どんなに言葉を尽くしてもなかなか伝わらない、テレビの力、映像の力をまざまざと見せつけられた。微妙にずれているような会話のやり取りの場面や心から楽しんでる様子など、いい交流ができていることがすごく分かった。
- ヒューマンドキュメンタリーという意味では淡泊なイメージを持った。入学から卒業までを追うなど、ベトナム人留学生それぞれの成長ぶりがあると、中身の濃いヒューマンドキュメンタリーになったのではないか。
- 地域課題が多く含まれたいい番組だからこそ、なぜこんなにいい番組を真夜中に放送するのか、もったいない。
- 地域との交流の描かれ方と、若者が離れてしまう過疎の島で新しい貴重な労働力ということが、前面に出過ぎているのが気になった。
- 五島に日本語学校があることは、あまり知らなかったので、興味深く拝見した。学校ができて、留学生がきてくれたことで地域に活気が生まれているということが非常に良く伝わってきた。
- 番組の作り方として、学生を2、3人というよりは日本語の上手な1人に絞って、番組を作った方がよかったのではないか。
- 目標を持って頑張っている若い人の姿は、国籍を超えて、それだけで「いいね」をしたくなるというか、美しい、励まされる、という感想を持った。
- 学生や地域の人たち、役所の人、小学校の先生にもインタビューしていたが、日本語学校の先生のインタビューが全くなかった。先生たちが気を付けていることや、学生に対する思い、地域との交流がたくさんあったが、そこを多分結構大切にされている学校だと思うので、なぜそのインタビューがなかったのか。
- 日本語学校の成り立ちがあまり説明されなかったこと、教える側の人の登場がなかったことが非常に気になった。
- 寮の食事の風景や小学生との交流、祭りに参加したり、マラソンを走ったり。いろんな場面が描かれていて、限られた時間、回数の取材の中で丁寧な取材をされていると感じた。
- 金銭面などの生活実態が見えづらかった。留学生の日本での学費や、その中でどういう形で生活をしてるのか、簡単にでもいいのであったら良かった。
- 見た人が「頑張ってほしい」「これいいね」「五島市こんなこと頑張ってんだ」など、そういう感想を思った時点で、番組としては成功していると思う。
- 放送にあった「看板娘」という言葉は、ジェンダー的に問題はないのか。
- 焼肉屋でアルバイトをしている留学生が言われた「大丈夫です」の話。「大丈夫」という日本語は難しくて、おもしろい。回数の限られた取材で、たまたまこの場面に当たる取材者は「持っている」と思った。