第600回番組審議会 2025年9月10日
第600回番組審議会は、2025年9月10日にテレビ長崎本社で開催され、下記の番組について審議を行った。
審議議題番組 『KTN Live News イット! SP 「つなげ未来へ ナガサキの80年」』
2025年8月9日(土) 16時35分~17時30分放送
出席委員(順不同・敬称略)
田崎 智博
内田 輝美
近久 宏志
吉井 剛
藤岡良規
河村 有教
北村 由香
樋口 聡子
以上 8名
欠席委員(順不同・敬称略)
なし
審議の概要
総評
- 被爆80年を受けて制作された番組は意義深く、次世代に向けた伝え方を明確に打ち出していた点で高く評価された。構成が明確で視聴しやすく、重くなりがちなテーマを、受けとめやすいトーンでまとめていた。
- 若い俳優をインタビュアーに起用した企画が有効で、被爆者の証言を次世代の視点で受け止め直す橋渡しになっていた。総集編としての編集も丁寧で、要点がまとまっていた。
- 世界情勢や核問題の文脈を専門家(国際的な立場を持つ人物)に解説させたことで説得力が増し、番組のメッセージ性を強めていた。
- 被爆者の語りに生活や暮らしぶりを織り込み、体験の「実感」が伝わる構成が良かった。字幕による文字起こしが丁寧で、聞き取りにくい発言も理解できるよう配慮されていた。
- CM扱いについては概ね配慮が見られ、番組の余韻を損なわない導入がされていた点が評価された。
- 市長の平和宣言を読み上げる場面で女性アナウンサーのコメントが被り、重要なメッセージがかき消されたシーンがあり、もったいなかった。
- 城山小学校からの中継パートは、展示物や暮らしを示す映像が十分に見えず、やや駆け足で弱い印象になった。子どもの発言が「練習通り」に見えてしまう場面もあり、演出の工夫が望まれる。
- 午前中の式典中継との重複や、既存の慣例的な扱い(高校生の活動紹介等)に頼りすぎると食傷気味になるとの指摘。被爆者が減少していくなかで、単に恐ろしさを伝えるだけでなく「核とどう向き合うか」を示す長期的視点と具体的な取組の提示が必要とされた。
- 平和宣言や首相発言の扱いについて、背景やプロセス(起草過程など)を追うこと、主要発言の映像を適切に取り扱うことが望ましいという意見。
- 番組終了直後に入った一部の騒々しいCM(例:店舗告知の急なBGM)は番組の余韻を損ねたとして不満が示された。
- 被爆証言が直接聴ける「最後の機会」としての重みを踏まえつつ、81年以降の継承戦略を局内で議論し、長期的なシリーズや世界情勢・安全保障の実務的な視点を織り込んだ企画を検討してほしい。
- 若い世代の価値観や政治・安全保障に関する意見も含め、現在の社会状況に即した議論を番組に取り入れることで、新たな共感軸を作ることが有効。
- 平和宣言や式典の「届き方」を検証するために、外国参加者や海外の反応を含めたフォローを続けることが重要。


