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長崎・被爆80年

戦勝国の兵士にも深刻な心の傷「戦争トラウマ」 長崎に上陸した米兵だった祖父の思いに被爆地で触れた米国女性の物語

2025年4月、米国で放送されるドキュメンタリー番組が被爆地・長崎で撮影された。

テーマは「Atomic Veterans」(アトミック ヴェテランズ=被ばく退役軍人)だ。

ベアトリス・べセット監督は「『アトミック ヴェテランズ』とは原爆投下後に広島と長崎に入ったアメリカ軍の兵士を指します。

20万人の兵士が進駐しましたが、アメリカ国内でもそのことを知っている人は多くなく、学校でも教えられていません」と説明する。

番組の主人公は作家のヴィクトリア・ケリーさんと報道記者だったカリンさん。

原爆投下後に被爆地に進駐した元アメリカ兵を訪ねるほか、2人が持つ長崎と広島のそれぞれ関わりに迫ってゆく。

長崎にゆかりを持つのはヴィクトリアさんだ。

米海兵隊の衛生兵だった祖父カーマイン・ジャルディさんは戦時中のサイパンや沖縄を経て、1945年9月23日、進駐軍の一員として長崎に入った。

遺品となったアルバムには笑顔の写真が残るジャルディさんだが、戦地での悲惨な記憶を忘れられず、酒に溺れ42歳で亡くなった。

孫のヴィクトリアさんは「私は祖父に会ったことがありません。祖父は戦争から戻り、当時、大きなトラウマを抱えていました」と振り返る。

戦地での壮絶な経験で心に傷を負う「戦争トラウマ」。 原爆を投下した戦勝国・アメリカでも、長崎や沖縄など悲惨な様子を目にした兵士たちが戦後、心を蝕まれていたことがわかる。

「(祖父にとって)沖縄戦はおそらく非常につらい経験だったと思います。医学教育を受けた人間にとって戦争で傷ついている日米双方の苦しみを目の当たりにするのはおそらく非常に辛かったのでしょう」(ヴィクトリアさん)。

祖父の心に大きな傷を与えた原爆とはどんなものだったのか、そして原爆投下・第二次世界大戦の終結から80年の節目に、孫世代の彼女が被爆地で思いを巡らせた祖父の"思い"とは。

(2025年5月29日放送)

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